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Thut-The thing which unifies time and wisdom-
第十三話「能力と覚悟」
「ふわぁ………」
登校中の往来で、他人の目を気にすることなく大きな欠伸をする詩織。
こいつはもうちょっと年頃の女としての自覚をもったほうがいいと思う。
「うにょー、眠いよう」
今日は月曜日、普通ならば学校に行くのはだるくても、寝不足ということにはならない日だ。
その上詩織は、多少の疲れや寝不足は物ともしない、いわゆる「快活な美少女高校生(自称)」で通っている。
だが、今現在詩織はそんな通り名とはほど遠い、まるで「フルマラソンを走りきったけどタイム計ってなかったからもっかい走って来い」
と宣告されたアスリートのような表情をしていて、足取りもおぼつかない。
「いったい何時に帰ってきたんだ昨日は……?」
昨日、つまり日曜日だが、詩織は帰ってこなかった。
あのあと、結局昼飯は俺がつくったものを食べることになり、そのまま家に居座った秋葉の相手をしたり、
どうやら魔法に興味をもったらしい四姫に魔法史を教えたりしていたら夕食の時間になり、
夕食を食べさせてからロードワークを兼ねて秋葉を翠椋亭に送りとどけ、四姫の魔力制御の詰めを指導し、風呂に入っていつもの就寝時間になっても帰ってこなかったのだ。
腹を空かせて帰ってくると思い、夜食を用意しておいたが、朝起きてみるとそれにも手をつけていなかった。
びっくりして詩織の部屋に行き、一応帰ってきていることを確認して叩き起こしていると、朝飯を食べている時間がなくなり現在にいたる、というわけなのだが……
「本部を出たのが三時くらいでー、家に着いたのが四時半でしょー、それからお風呂入ってすぐ寝ちゃったから、寝たのは五時くらいかなー。
お夕飯も軽く食べただけ、っていうかお夜食を食べなきゃやってらんない状態だったのになんにも食べないで寝ちゃったから力も入りませんー」
「おいおい、緊急会議とはいえ何で午前様なってんだよ。そんなに長引いたのか?」
「うー、会議自体は夜の十時くらいに終わってたんだけど……そのあと何故か模擬戦をさせられて、いろんな人を相手してるうちにそんな時間に……」
……夜も遅くに模擬戦ですが、それはご苦労なことで。
基本的に、魔法継承家系の当主は成人しており、任務が入らないかぎり家か局にいるため、あまり時間というものを気にしない傾向にある。
ゆえに、詩織が模擬戦に付き合わされたことに特に違和感はない。ましてや詩織は今では唯一の「煉瀬」だ、本家の人間であれば末席でも、
イージス艦程度なら余裕で沈められると言われている連中の生き残りとあれば、模擬戦をするという機会はめったに訪れない。
「うにょー、もうダメ」
「え、あ、ちょ、ひゃあ」
前後不覚というか、もはや千鳥足で自立歩行すら怪しくなってきた詩織が、隣を歩く四姫によりかかる。
「あー、こらこら、そっちは四姫だ。寄りかかるなって、お前の方が背が高くて重いんだかぐぼぁ!」
押しつぶされそうになっている四姫から詩織を剥ぎ取ろうとしたら、いい感じの裏拳をもらった。
「だ、大丈夫ですか?」
腹を押さえてうずくまった俺に、四姫が慌てて駆け寄ってくる。枝垂れかかっている詩織を引きずりながら。
幸いヒットしたのが腹部だったため、回復は早かった、股間か鼻っ柱にもらってたら再起不能でした。
「……おう、大丈夫。ほら詩織、いい加減にしないと四姫がマリオに踏まれたクリボーになる」
「……ううん、ねぇ朔夜、帰っていい?」
「馬鹿、今日は四姫の編入試験の日だろ、修興の結界があるとはいえ俺たちから離れるんだ、念のため二人ともいなきゃ有事の際に手薄になっちまう」
今度こそ詩織を引っぺがし、半ば抱え込む形で支えながら前に進む。
これだけ密着して女の子特有のシャンプーの香りなんぞを嗅いでいると、普通の男子高校生なら興奮してもおかしくはないのだが、
相手が詩織なので興奮のこの字も出てこない。っつーか五月も半ばだというのに真夏日のような暑さなので余計に暑苦しいだけだ。
「さあぁああくやあぁあぁ、俺もうダメ~ぇええぇぇぇ」
校門まであと少し、とりあえず保健室のベッドに放り投げておくか、と考えていたところに、今度は汗臭い野郎が枝垂れかかってきた。冬馬だ。
「えぇい、暑苦しい離れろ!どうしてお前まで寝不足でへろへろなんだ!!」
「昨日原稿があがったんだよ~、そしたらやっぱりお祝いするじゃないか~、だから寝不足と二日酔いでレロレロレロ」
ダメだ、こいつはなんか男子高校生としてダメな気がする。
「え、えーっと朔夜さん?この方は一体……?」
「あー、そういえばこいつとは初対面だったな、こいつは八神冬馬、秋葉の兄で俺の悪友、そして現在進行でダメ人間だ」
「そんな紹介はひどいぜ相棒、でも今はそんなことかまってられなレロレロレロ」
「……………わっ、ばか、マジで吐こうとするな!!」
軽く嘆息して、二人を引きずったまま校門を抜ける。
すると、あたりから結構な人数のヒソヒソ声が聞こえてきた。
まぁ確かに、背中に冬馬、脇には詩織、そして隣には四姫という非常に意味のわからない状態は当然、周囲の好機の的になる。
そのヒソヒソとした会話の内容に耳を澄ませると、四姫の存在に関して言及するもの、俺が詩織を抱えていることになぜか憤慨しているものなどなど様々だった。
これ以上客寄せパンダになるのも、妙な噂を立てられるのも面倒なので、足早に廊下を通りぬけ、冬馬を部室に、詩織を保健室に放り込んだ。
「ふぅ、これでよし、と」
そして一息つくまもなく、今度は四姫を中等部の校舎まで送り届ける。
無駄に広い敷地と大量の学生数を持つ私立修興学園は、高等部から中等部までたどり着くのに徒歩で軽く三十分を時間を要した。
「あ、朔兄、四姫!こっちこっち!!」
中等部の昇降口には、秋葉が待っていた。
どうやら、試験会場までは秋葉が案内してくれるようだ。
「あれ、朔兄お疲れモードだね。あ、まさか冬兄に絡まれた?」
「そのまさかだよ、まーさーかーソウルだこの野郎」
「ごめんね~、普通二日酔いで学校なんか行かないのに」
「まぁ、いつものことだ。さて、じゃあ秋葉、四姫のこと頼んだぞ」
「うん、任せて」
「四姫も、まぁ試験は余裕だろうから、気楽にやってこい。帰りは迎えにきてやるから、終わったら……電話は持ってきてないから無理か、試験だもんな。しかたない、これを飛ばしてくれ」
ポケットから、リングで束ねるタイプの単語帳サイズの紙片を取り出して四姫に手渡す。
「そいつは簡易タイプの式神だ。一つの単純な命令しかできないように設定してあるから魔力を通す必要もない。ただ一言『行け』といえばOKだ」
「はい、わかりました!頑張ってきます!!」
「おう、頑張れ」
校舎の中へと消えた二人の背中を見届けると、また高等部へトンボ帰りをする。
授業開始まであと二十分、徒歩では三十分かかる距離、果たして間に合うだろうか?
――――――
結論、ギリギリ間に合った。
いや、正確にいうと、五分ほど遅刻した。
しかし、幸いなことにHRに担任が遅刻して来たので、出席確認が済んでいなかったのだ。
ちなみに冬馬は当然のごとくいなかった。電話をかけてみても出る気配がなかったので、HRはぶった斬るつもりなのだろう。
「はいはいごめんねー、遅刻しちゃって」
俺が教室に入ってから五分後、つまり十分の遅刻で担任の初老教師が入ってきた。
「いやいや、つい夜中にガ○ラ三部作が見たくなっちゃって、寝坊しちゃいました」
それって教師としてどうなんだろうか。
いや、もちろん寝坊するほうに関してだ。映画の趣味ではない。
「えーっと、欠席は……おや、今日も八神くんがいませんね、一条君なにか聞いてますか?」
「冬馬は持病のアセドアルテヒド残留症状に悩まされてます。でも授業には出ると思います」
「そうですかー、二日酔いねぇ、先生も学生時代は悩まされました。ちなみに果糖が効くらしいですよ?後で100%ジュースでもおごってあげるとしましょうか」
いやいや、だからそれって教師としてどうなのよ。
そんなこんなでHRは終わり、授業も特に滞りなく進んだ。
冬馬は二時間目から復活してきた、やはりジュースをおごってもらったのだろうか?
そして昼休み―――
「さて、学食ってどっちだっけ?」
「あれ、珍しい。朔夜が弁当忘れるなんて。今日は槍でも降るのか?」
「寝不足でなかなか起きなかった詩織の相手をしてたら、朝飯も弁当も四姫の分しか用意できなくてな」
「なーる、じゃあ俺も学食にするとしますか」
よっこらせ、と年寄りくさい声を上げて冬馬が立ち上がる。
こめかみのあたりをぐりぐりとやっているということは、まだ完全に酒は抜けきっていないようだ。
思わず治癒魔法をかけてやりたくなるが、さすがに場所が場所だし、ここで甘やかすと繰り返しそうな気がするのでやめておく。
教室棟を抜け、渡り廊下にでると、忘れていた熱気が体にまとわりついた。
霧浜は基本的には過ごしやすい気候なのだが、海に面しているため、今日のような暑い日だとどうしても湿度が高くなる。
「おぉう、この湿気は気分をさらにゲロゲロにさせてくれるぜ」
「衣替えは来月だからなぁ。まぁエアコンが入ってるだけマシだろ」
近年の異常気象により、五月中でも真夏日を超えることは珍しくはなくなった。
故に最近では結構な数の学校にエアコンが配備されるようになり、修興もその例に漏れない。
ただ、エアコンが常時使用可能になるのは七月に入ってからだし、それ以外の日は今日のように真夏日にならない限り動かない。
加えて、ここの男子の制服は黒のブレザーだ、登下校及び今のみたいにひょんなことで屋外にでるとなかなかの地獄を味わわされる。
「うわ……混んでるな」
校舎の中央に位置する学食。
内装は、かなり広めのカフェテリアのようになっており、外のテラスで食べることもできるようだ。
そのキャパシティは確か全校生徒の約半分を収容できるものと聞いていたが……
「まぁ、古今東西学食ってのはこんなもんだろ。授業が終わって走らなきゃ席は取れない、メニューは確保できない」
「それでも二人並んで座るくらいはできそうだな、さて、あの券売機で食券を買えばいいのか?」
財布を取り出しながら券売機に近づくと、そこには詩織がいた。
「ん、さすがに朝飯も食ってなければ起きてくるか」
「いやぁ、びっくりしたよ、起きたら保健室のベッドだもん。面倒だったから午前中の授業は斬っちゃったけど」
まぁ、夜中まで働いてたから今日は大目に見るとしよう。
券売機の品揃えをざっと眺めると、高校の学食にしては多い、むしろ多すぎる品数がそろっていた。
ここらへんは私学の強みなのだろうか?それとも単に学校の経営方針の問題か。
「俺はあんまり食欲ないし、うどんにしておこう」
そういって冬馬は隣の券売機にちゃりちゃりと小銭を投入、ボタンを押す。
「うどんか、っておい!そりゃカレーうどんじゃねぇか馬鹿!!」
「?、なにか問題が?」
カレーうどん、それは制服の敵である。
どんなに細心の注意を払っても、その黄色い飛沫が衣服に飛ぶことは避けられず、またなかなかその汚れが落ちないことで有名な代物だ。
しかも、その被害は本人だけでなく、近くに座っている他人にまで及ぶという無差別兵器……!!
「あぁ、それならカウンター席に座ればいいじゃん、俺ナフキンするしさ」
「そういう問題じゃないんだが……」
同意を求めようと思い、詩織へと振り返る。
「ってお前もカレー南蛮かよ!!」
「えー、食べたいんだからしょうがないじゃん」
「だれが洗濯すると思ってんだアホ!!」
まさか詩織までボケに回るとは思わなかった、こいつら相当キてるな。
ギャアギャア喚いたところで、買ってしまったものはしょうがないということで、二人は先に行ってしまった。
俺はおとなしく鯖味噌定食を選び、急いで後を追う。
「あれ?何だこの匂い」
「何って、カレーの匂いにきまってるじゃん」
食券をおばちゃんに渡して、三人並んで待っていると、どうにも妙な香りが漂ってきた。
「いや、確かにカレーなんだが……おかしい、どっかで嗅いだことのあるスパイス配分の香りだ……」
カレーというのは、スパイスの塊である。
一般的に売られているルーは、そのスパイスをその他調味料等で味を整えたものだが、専門店などでは独自のスパイスを調合して作っている。
独自のスパイスを調合する、ということは、各店のスタイルを確立するということであり、その手間は計り知れない。
なのに、たかが学食でこれだけ特徴的な香りのするカレーを作っているとは驚きだ。
「あー、そういえばこの学食、霧浜のいろんな店がレシピ公開なり出張販売なりをしてるらしいな、ちなみにこの匂いは多分駅前の喫茶店「エスティア」だろう」
そういわれて見ると、確かに前に食べたことがある匂いな気がする。
ちなみに冬馬は料理はからっきしだが、嗅覚と味覚だけは料理人である親の才能を受け継いだらしい。
しかしまぁ、たかが学食にそこまでするとは、修興学園恐るべしである。
麺類を注文した二人は若干時間がかかるようで、とっとと定食が出てきた俺は窓際の席を陣取った。
窓際は直射日光で嫌というほど温まっていたが、他に空いているところもなかったので妥協する。
「さて、いただきます」
無難なところを選んで頼んだ鯖味噌定食はわりと美味かった。
しっかりと咀嚼し、かつ適切な速さで食べ進めていると、カレー麺二人組みがこちらにやってきた。
「うわ、朔夜お前なんでそんなクソ暑い席に座ってんだよ」
「他に空いてなかったんだよ、いいじゃねぇか、暑い時に暑いところで暑いモノを食べるのは日本人の性だろ」
「そんなおばーちゃん思考しなくてもいいじゃん………」
ぶちぶちと二人で文句をいいながらも席に着く。
二人とも朝方よりは顔に生気が戻っているが、それでもまだ蒼白といっても差支えがない。
冬馬はなんとかいうか、救いようのない理由だが、詩織は仕事をしていたというし、この体調のままいられると、四姫を保護するという任務に支障をきたしかねない。
軽く違法行為になるが、二人のために気温を下げてやることにした。
ノートを取り出し、筆箱から筆ペンを取り出して、大きく「冷」と書き、机の中央に配置する。
そしてその紙に軽く魔力を通す、すると―――
ギシッ
と、木材が軋むような音を立て、周囲の温度がグンと下がった。
「ほら、涼しくなっただろ」
「おお、助かった」
「ありがと、文系はこういうとき便利だね」
理系は文系と違い、詠唱を必要としない。
その分、計算した数式を暗号化した魔法陣がいかなる状況、いかなる術式でも展開されてしまう分、隠密性に欠ける。
反面、文系はこの「お札」のように、「文字自体」に魔術的意味を持たせることができるので、
術式をあらかじめ用意しておいたり、今のように人目を気にするときにカムフラージュが可能となるのだ。
ただし、その文字を「刻む」媒体、ここではノートの紙には、こめられる魔力のキャパシティがあり、それを超えた術式を刻むことはできない。
そのキャパシティは刻む媒体の材質によるのだが、大概の紙や木簡では大した量のキャパシティを持っていないので、詠唱が必要になるような攻撃術式等は容量オーバーとなってしまう。
それ単体では、あくまで簡単な補助術式や、朝、四姫に渡した簡易式神程度の役割しか果たすことができない。こんなときは便利なのだが。
「あーあぁ、俺もお前らみたいに魔法が使える体だったらいいんだがなぁ」
ずるずるとカレーうどんをすすりながら冬馬がぼやく。
「馬鹿、これでも色々苦労があるんだよ、そもそもお前が使える体になってどうする」
「少なくとも、現場に出る際にお前らに護衛を頼む必要が無くなるだろ?」
「現場に出る情報屋ってのも珍しいと思うんだけどねぇ……ま、冬馬はどう転んでも覚醒しないから、いつでも私たちを頼りなさい」
これまたずるずるとカレー南蛮をすすりながら詩織が答える。
というかお前ら、案の定カレー飛ばしまくってんじゃねぇか。
「魔法が使えるといえば……どうやら四姫が興味を持ち始めたようなんだが」
あらかじめ持ってきておいたお絞りを二人に投げつけてから、昨日四姫に軽く魔法史の講義をしてしまったことを話す。
というかいくつかの質問に答えているうちに、俺が調子に乗ってあれこれと教授してしまったのだが。
「朔夜は教師体質だからなぁ……、んで?それがどうしたんだ?」
「……覚醒しているとはいえ、四姫はまだ一般人の範疇に居る、お前の業界と一緒で、“こっち”は生半可な覚悟で足を突っ込むと大火傷するからな」
「どこまで教えていいものなのか、判断がつかないってことか?」
「その通り、んで、お師匠様の判断を仰ぎたいんですが、いかがなものでしょう?」
俺の問いに、詩織は箸を丼のふちに置いて、
「魔法史レベルなら、もし他人に漏れたとしてもフィクションでごまかせるからいいけど、なんらかの術式まで教えるとまずいかな、
あと魔法史も深いレベルや、始祖術式とかに関連する事柄は禁止、四姫は頭いいから、そこから推測されて、好奇心程度で術式を組まれると面倒」
と、朝のふらふらして情けなかった詩織とは思えない、しっかりとした声色の回答が帰ってきた。
流石は日本の魔法世界を統括してきた煉瀬の生き残り、体調が悪くとも安易な判断で秩序を乱したりはしないらしい。
「ってのはあくまで私の判断、この件の責任者で、四姫の面倒を見ている朔夜としては、どう判断する?」
「そうだな……、四姫は、魔法を使えることに関するリスクを、自分があんなことに巻き込まれているから、理解できていないことはない。
もしこちら側に踏み込んでくる覚悟があるというのなら、なんらかの形でそれを証明してもらって、俺は四姫に色んな術式を教えたほうがいいと思う」
「……それだけじゃ理由が弱すぎるね、他には?」
「わかってるさ、一番の大きな判断材料として、四姫には相当な素質がある。普通は数ヶ月かかる魔力制御を一週間そこらで体得したのがいい証拠だ。
詩織が指導すれば、かなりの術者になることは間違いないだろう。……それに“こっち”は常に人材不足だしな」
局が発足して以来、魔導師は一種の職業として確立している。
魔法犯罪の取り締まりはもちろんのこと、冷戦以後、活発化した民族紛争へ、国連と連携し、第三勢力として介入などもしている。
一般兵に比べれば魔導師の戦死率は圧倒的に低いが、ゼロではなく、そもそも魔導師は絶対数が少ない。
ゆえに常に“こちら”側は人材不足に陥っているのだ。
「どうだろう?正直なところ、防御術式だけでも、俺は教えておいたほうがいいと思う。万が一のことがあったとき、それがあるとないとじゃかな差が出るだろ」
「それには賛成だね、ただし条件がある、とりあえず機会を作って、四姫に“こっち”側の現実を認識させること、それと、もし修行をつけることになったら、朔夜が四姫の面倒をみること」
「ん?俺は詩織に四姫の師匠をやってくれといったんだぞ?」
「もちろんやるよ、朔夜に任せたら変なこと教えそうだし、そもそも文系だし。ただね、妹弟子の面倒は昔から兄弟子がみるものだって相場が決まってるんだよ」
ぴっと人差し指を立てて詩織が言う。
「……そういうもんなのか?」
「そういうもんなの」
確かに言われてみればそんな感じもしないでもない。
だいたい今だって、ほとんど俺が面倒を見てきたから大して変わらない気もする。
「問題はどうやって『“こっち”側の現実を認識させる』かだな」
「あ、それなら俺にアイデアがある」
しばらく黙っていた冬馬が挙手をして、カバンからいつものノートパソコンを取り出した。
「昨日印刷所から帰る時に来た依頼でな、お前らに頼むのにピッタリな案件があったんだ。でも今は四姫云々で忙しいだろうから頼まないで置こうと思ったんだが、そういうことなら」
「へぇ、私たちにピッタリの依頼って?大規模殲滅戦?」
「いや、それ得意なのはあなただけです」
「ちょっとまて、ほい、これだ」
冬馬がくるりとノートパソコンの画面をこちら側にむける。
するとそこには――――
to be continued.....
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★ プロフィール
HN:
上城 遊馬
性別:
男性
自己紹介:
前のハンドルは宇宙飛行士な名前だったり。
三流国立大学の隅っこで映像制作をする不良大学生です。
アウトドア派でクリエイター気取り。
ぬるぬると文章を書き連ねておりますのオタク。
東方大好き、MGS大好き、特撮大好き、アニメ大好き、小説大好き、料理大好き、キャンプ大好きな人間です。
もうちょっとしたらPixivの小説投稿を本格的に始めようかな……
三流国立大学の隅っこで映像制作をする不良大学生です。
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